相変わらず週一本くらいの割合で
映画館あるいはDVDで映画は観ているのですが
どうしても感想を書きたい!と思うほどの作品には中々出会えない。
最近観てよかったものは「マネーボール」「ずっとあなたを愛している」「ハリー・ポッター最終章」
「キッズ・オールライト」「メアリー&マックス」あたりか。
昨日テアトル銀座で観た「サラの鍵」は
久しぶりに心を鷲掴みにされました。
300万部を売り上げたというタチアナ・ド・ロネの原作をジル・パケ=ブランネール監督が映画化。
第23回東京国際映画祭 最優秀監督賞、観客賞受賞
1942年7月、フランス警察はユダヤ人を一斉検挙し、ヴェルディヴ競輪場に連行した。
飲み水も食料もトイレすらないというところに1万5千人余りを数日間押し込める。
当時その競輪場の近くに住んでいたという老婦人の証言が悲しい。
(ユダヤ人が)連行された当初は騒音が酷くて窓が開けられなかった、
その次の日からは悪臭がすさまじくて開けられなかったと。
題名となっている少女サラは10歳くらいか。
警察が押し掛けてきたその日、とっさに幼い弟(5歳くらい)を納戸(クロゼット)に
隠し、鍵をかける。
すぐに帰ってくるから出ちゃ駄目、約束よと言って。
しかし検挙されたユダヤ人たちは競輪場から別の収容所へ、さらにアウシュビッツなどへと。
サラは寝ても覚めても弟のことを思い、遂には収容所からの脱走を図るのだが…
物語は現代のパリに住むジャーナリスト、
ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)の姿も並行して描かれる。
ヴェルディヴ事件を調べていたアメリカ人のジュリアは
フランス人の夫の義父の家が、そのサラが住んでいたアパートだと知る。
そして当時のことを徹底的に調べ始める。
1942年にアパートに移り住んだという義父の一家は
ユダヤ人が連行された後の家を着服したのではないか?
サラと弟のその後は?
平穏な日々を生きている現在の人々は当惑し、否定し、
ジュリアを憎悪さえする。
ジュリア自身、自分がしていることに迷いを感じ、
それに思いがけない妊娠と、中絶を望む夫とのすれ違いも絡んでくる。
ヴェルディヴ事件を公式に認め、謝罪したのはシラク大統領、
まだ近年のことなのです。
ナチスだけでなく、フランス当局もユダヤ人迫害に加担していたということを
私も知りませんでしたが、フランス本国でも若い世代は知らないという様子を
映画では語っています。
悲しい映画です。
一心に自分を慕う幼い弟を、助けるためのとっさの機転だったとはいえ、
鍵をかけて置き去りにしてしまった少女サラ。
肌身離さずその鍵を持ち歩き、命からがら脱走までして
アパートに辿りつき、ようやくその納戸を開けた彼女が見たものは…
サラの人生にも映画のストーリーにも救いはないが
最後の最後で、一筋の光明が射すようでもあります。
ジュリアが受け継いだ新しい命の存在によって。
過去の罪を消すことはできないが
せめてそれを知ること、語り継ぐことで、僅かな許しがもたらされる
ような気がします。
サラの鍵 http://www.sara.gaga.ne.jp/
映画館あるいはDVDで映画は観ているのですが
どうしても感想を書きたい!と思うほどの作品には中々出会えない。
最近観てよかったものは「マネーボール」「ずっとあなたを愛している」「ハリー・ポッター最終章」
「キッズ・オールライト」「メアリー&マックス」あたりか。
昨日テアトル銀座で観た「サラの鍵」は
久しぶりに心を鷲掴みにされました。
300万部を売り上げたというタチアナ・ド・ロネの原作をジル・パケ=ブランネール監督が映画化。
第23回東京国際映画祭 最優秀監督賞、観客賞受賞
1942年7月、フランス警察はユダヤ人を一斉検挙し、ヴェルディヴ競輪場に連行した。
飲み水も食料もトイレすらないというところに1万5千人余りを数日間押し込める。
当時その競輪場の近くに住んでいたという老婦人の証言が悲しい。
(ユダヤ人が)連行された当初は騒音が酷くて窓が開けられなかった、
その次の日からは悪臭がすさまじくて開けられなかったと。
題名となっている少女サラは10歳くらいか。
警察が押し掛けてきたその日、とっさに幼い弟(5歳くらい)を納戸(クロゼット)に
隠し、鍵をかける。
すぐに帰ってくるから出ちゃ駄目、約束よと言って。
しかし検挙されたユダヤ人たちは競輪場から別の収容所へ、さらにアウシュビッツなどへと。
サラは寝ても覚めても弟のことを思い、遂には収容所からの脱走を図るのだが…
物語は現代のパリに住むジャーナリスト、
ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)の姿も並行して描かれる。
ヴェルディヴ事件を調べていたアメリカ人のジュリアは
フランス人の夫の義父の家が、そのサラが住んでいたアパートだと知る。
そして当時のことを徹底的に調べ始める。
1942年にアパートに移り住んだという義父の一家は
ユダヤ人が連行された後の家を着服したのではないか?
サラと弟のその後は?
平穏な日々を生きている現在の人々は当惑し、否定し、
ジュリアを憎悪さえする。
ジュリア自身、自分がしていることに迷いを感じ、
それに思いがけない妊娠と、中絶を望む夫とのすれ違いも絡んでくる。
ヴェルディヴ事件を公式に認め、謝罪したのはシラク大統領、
まだ近年のことなのです。
ナチスだけでなく、フランス当局もユダヤ人迫害に加担していたということを
私も知りませんでしたが、フランス本国でも若い世代は知らないという様子を
映画では語っています。
悲しい映画です。
一心に自分を慕う幼い弟を、助けるためのとっさの機転だったとはいえ、
鍵をかけて置き去りにしてしまった少女サラ。
肌身離さずその鍵を持ち歩き、命からがら脱走までして
アパートに辿りつき、ようやくその納戸を開けた彼女が見たものは…
サラの人生にも映画のストーリーにも救いはないが
最後の最後で、一筋の光明が射すようでもあります。
ジュリアが受け継いだ新しい命の存在によって。
過去の罪を消すことはできないが
せめてそれを知ること、語り継ぐことで、僅かな許しがもたらされる
ような気がします。
サラの鍵 http://www.sara.gaga.ne.jp/